なぜ新人さんは掃除をさせられるのか?そこには深い意味がありました。就職したばかりの社員、採用されて初日のアルバイトが掃除をさせられるのには教育と効率の2面性がありました!
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仕事初日から掃除が続く理由
飲食店によくあるのですが、面接が済んで採用されて仕事に就いて。よしやるぞー!思ったんだけど仕事は雑用ばかり。掃除ばかり。たかが掃除でもそこには深い理由が・・・
たぶん教える方が面倒くさいんでしょうね。違います!中にはそういう時もありますが!?ほとんどの場合が人間教育です。サービス業に関わる者としての教育の一環です。
飲食店はリアルタイムでお客さんに接する仕事です。料理をつくる。提供する。接客をする。臨機応変に動くことが求められます。ただ単に動くだけでなく言動に気を付ける、忙しくても衛生管理に手を抜かないなどの資質が求められます。
掃除でお店が磨かれる以上に、人を磨く練習になっています。
掃除で新人さんの職場での素質や性格を見抜く
「ダイニングをきれいにしろ」と指示をすると・・・
- テーブルと床を掃除をするだけの人
- テーブルと床を綺麗に掃除をする人
- テーブルと床をピカピカになるまで掃除をする人
- テーブルの脚までキレイにする人
- 掃除をした後にまだどこか汚いところがないか聞いてくる人
いろんな人がいます。大抵の人は1番上の「ただ掃除をするだけの人」です。拭き掃除は拭くだけです。テーブルが綺麗になっていようがいまいが関係ありません。拭いたという事実だけがあれば満足するグループです。「キレイに拭け」というと「ちゃんと拭きました!」と返答するのが特徴です。
掃除はキレイにするのが目的であって、掃除をするのが目的ではありません。
掃除をする姿を見てその人の性格や几帳面さが分かります。
職人さんが「隅々まで掃除しろ」とよく言います。これは衛生・清潔第一!ということだけではありません!細かいところまで目が行き届く人間になりなさいということです。
隅っこの汚れに気が付くかどうかです。気が付かないと掃除することもできません。自分のレベルの掃除しかできません。自分で汚れているところを探すのも仕事のうちです。自分で進んで仕事を見つけられるかどうかもココで決まってきます。指示されなければ動けない人が多いのは隅々まで掃除をすることを教えらえていないからです。
すし職人でも技術だけなら毎日やれば3ヶ月で使い物になります。でも3ヶ月でシャリや包丁を持たせてくれないところも多くあります。これは人間修業をさせている場合が考えられます。
大事なのは、人の口に入るモノを扱っているということ!お客さんや働く仲間に配慮ができない、気配りができない人間には料理を作らせないという仕事の根幹にかかわる部分です。
いい加減な人間が料理を作るとそこそこのものしかできません。「味」はレシピ通りに作ればごまかせますが、賞味期限管理や道具の手入れ衛生管理をきちんとしないとすぐに食中毒になります。気配りができないと提供する器もまともに選べません。食べる方はとても不便です。お客さんの立場や目線に立てない人は料理人にはなれません。
「仕事の初歩は人間をつくることから始める」この基本を教えてくれる、または教えるのに掃除は最適なトレーニングになっています。
ファストフード店の場合の掃除
オージェイティーとオフジェイティーとクリーニング
管理されたファストフード店では大きく分けて2つのトレーニング方法があります。仕事をしながらトレーニングを行う「On The Job Training」オンザジョブトレーニング。略称でOJT(オージェイティー)とよばれます。これは実際にトレーナーや先輩社員がが見本を見せながら教育する方式です。わかりやすい反面、教育できていない素人状態の制服姿の人間がお客様と接する場合があるのがネックです。
対してオフジェイティー(Off The Job Training)は、机上のトレーニングになります。まったくお客様から離れた場所で行います。教育用のDVDをみたり、トレーナーからマニュアルやガイドブックを開きながら教わる方法です。ネックはトレーニー(受ける方)が分かっているのかどうかが分からない点です。ココでは分かっていても実際にショップに立つとできないこともあります。さらに、トレーナーも一緒にショップから離れるので人件費がかかります。新人さんの時給が1000円、トレーナーが1500円とすると1時間当たり2500円の人件費が飛んでいきます。しかも、料理をつくらない・接客をしない、生産性のない人件費です。労働分配率は上がって良い会社に見えますが経営的にはファインクエスチョンです。
昔は、Off The Job Trainingを基本としてそのあと、ショップでの実施訓練(On The Job Training)を行うことが推奨されていました。しかし、不景気な世の中で効率化が進み「On The Job Training」をメインで行うようになってきました。
ここで便利なのがクリーニングです。Q.S.C.のなかの「C」の部分です。忙しいときトレーナーは接客や接客の補助を行います。このときトレーニーは手が空いてしまいます。ボッーとしているのは見た目にも良くありません。そこで掃除が登場します。トレーニーはあらかじめ教えられていた箇所を教えられた手順で教えられた基準まで掃除を行います。これでトレーナーも生きるし、トレーニーも手があかない、ショップもキレイになる、そして今後、手が空いた時間には掃除をするという習慣づけができます。一石二鳥以上の効率化が図れます。
ココでも掃除は仕事の基本です。そして人を育てる基本であることも忘れていません。
ミスタードーナツをはじめモスやコンビニの中には入店前にお店の周りを掃除するという作業があります。これは今からココで働かせていただきますよろしくお願いしますという気持ちも込められているようです。すばらしいですね。